視覚と聴覚の健康が認知症予防に重要

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新たな科学研究による発見

認知症は世界中で増加し続ける重大な問題となっています。新たな科学研究によれば、我々が認知症のリスクを減らすために注目すべき重要な要素は、視覚と聴覚の健康かもしれません。

視覚障害と認知症のリスク増

ミシガン大学の臨床医兼科学者であるジョシュア・エールリッヒ博士が率いる研究チームは、視覚障害を持つ人々が認知症を発症する可能性が高いことを明らかにしました。彼らの研究は、約3,000人を対象に行われた2021年の米国国民健康と高齢化傾向調査(NHATS)のデータに基づいています。

参考文献Olivia J. Killeen et al. JAMA Ophthalmol. Published online July 13, 2023

NHATSの面接担当者は、参加者全員にタブレット端末を提供し、近方視力、遠方視力、コントラスト感度の検査を行いました。その結果、遠方視覚能力を持つ人々では認知症の兆候が19.5%、近視障害の人では21.5%であったことが明らかにされました。さらに、中等度から重度の視覚障害がある人、または視覚障害のある人では、その割合が32.9%に上昇しました。この研究結果について、米国視覚障害者財団の研究部長であるアリエル・シルバーマン博士は、「この研究は、軽度の視覚障害であっても認知症のリスクを高める可能性があることを示した」と述べています。

ただし、視覚障害が認知症の原因であるとは確定的には言えず、あくまで相関関係が見られるというのが現状です。認知症が視力低下の原因となっている可能性もありますが、視覚障害と認知症が同時に進行している可能性もあります。

2021年に報告された別の研究論文においても視覚障害と認知症の関連が報告されていますので実際のデータをお見せしながら紹介します。参考文献 Ga-In LeeらScientific Reports volume 11, Article number: 11393 (2021)

上記はその論文中で視覚障害のある人は無い人と比較して認知症発症しやすいということを統計的に示した図です。横軸は時間経過で12年間追跡しています。縦軸は認知症を発症している人の割合で、これが経年により右肩下がりになっているので、認知症を発症していることを表しています。太線は視覚障害がない人、細線が視覚障害がある人になります。P値は統計学で使われる指標で、これが小さければ小さいほど差があると解釈できます。P値は一般的には0.05より小さければ有意差があると言えますので、P<0.0001なら高い確度で差があるといえます。

参考文献 Ga-In LeeらScientific Reports volume 11, Article number: 11393 (2021)

こちらは同じ論文中で示されているデータで、視覚障害と共に認知症に関与する因子を調べたものです。これによると、認知症のリスクと最も関連のあるのは年齢(Age)であり、これは当然と言えます。意外なことに、というか非情なことに次に関連がありそうなのが世帯収入(Household income)。高収入なほうがストレスが少なく栄養状態もいいと予想されますので、よく考えれば納得できるのですがここまでの関連とは驚きました。あとは、上記2因子ほど関連は強くないですが、うつ病(depression)、高血圧(Hypertension)、次いで性別(男性)、冠状動脈性心臓病:coronary heart diseaseが関連しています。

補聴器の活用と認知症予防

また、補聴器の使用が認知症のリスクを軽減する可能性についても、科学的な証拠が増えてきています。この理由の一つとして、障害により感覚入力が減少することで、混乱を引き起こし、認知機能の低下を加速させる可能性があるといわれています。

たとえば、Maharani et al. (2018)は、英国の高齢者を対象にした縦断研究で、補聴器を使用した難聴者と使用しなかった難聴者を比較しました。その結果、補聴器を使用した難聴者は、使用しなかった難聴者よりも認知機能の低下が遅く、特に実行機能や視空間認知機能において有意な差が見られました。また、補聴器を使用した難聴者は、社会的な参加や自己効力感も高くなっていました。

視覚と聴覚の健康へのアクション

視覚障害と失明の80パーセント以上は予防可能、あるいは回復可能であると言われています。視力検査を定期的に受け、適切な治療を行うことで、視覚障害による認知症のリスクを軽減することができるかもしれません。一方、補聴器による聴力改善は認知機能を改善することが分かっていますので、聴力検査を定期的に受け必要であれば補聴器を利用することで、認知機能の低下を予防することが可能です。

このように、視覚と聴覚の健康が認知症の予防に役立つ可能性が、新たな研究によって明らかにされました。視覚と聴覚の健康を維持することで、私たちの心と脳の健康を保つための新たな道が開かれるかもしれません。

今後も新たな研究結果を待ち望むとともに、私たち一人ひとりが視覚と聴覚の健康を守る努力を続けていきましょう。

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