蚊と体臭の不思議な関係:夏夜の小さな悩みから未解明の秘密を解き明かす

生化学

ある夏の夜の困惑

夏の暑くて湿った夜。その静けさを乱すものと言えば、人々の耳元を飛び回る蚊の存在です。蚊がなぜ我々人間に惹かれるのか、その答えを探るための新たな研究結果が最近、学術誌に発表されました。

科学の疑問:蚊は何に引き寄せられるのか?

この研究は、スケートリンクと同じ広さの実験施設で行われ、さまざまな人々の体臭を用いて蚊の反応を観察しました。その結果、体臭中のどの成分が蚊を誘引しているのかを特定することに成功したのです。この興味深い発見は、科学誌カレントバイオロジーで公開されました。出典Diego Giraldo et al, Current biology, vol.33, 12, p2367, 2023

蚊の生態:美味しい食事と危険なハンター

蚊の多くはハエの仲間で、基本的には花の蜜を餌としています。しかし、卵を産む前の雌蚊はたんぱく質を求めて血液を吸うのです。その結果、人間は蚊に刺されると通常は赤く腫れ、かゆみを感じます。しかしその中には、マラリアなどの感染症を媒介する蚊も存在するのです。

マラリアと蚊:致命的な繋がり

この研究を主導したジョンズ・ホプキンス大学のコナー・マクメニマン教授によると、毎年60万人以上がマラリアで死亡し、その多くは5歳未満の子供や妊婦だと言います。彼の研究チームは、この問題に取り組み、マラリアを媒介する蚊がどのように人間を見つけるのかを解明しようとしました。

実験:蚊と体臭の相関性を探る

マクメニマン教授のチームは、特にマラリアを媒介するアフリカのガンビエハマダラカ蚊に焦点を当て、その行動を調査しました。彼らは、蚊が魅力的だと感じる体臭や、20メートル離れた場所からにおいを追跡できる能力、そして蚊が最も活動的になる夜10時から朝2時の間について調査しました。

方法:体臭を使った蚊の行動観察

実験では、大きな実験施設に蚊を放ち、人々が眠っているテントから体臭を送り込みました。それらのテントから送られる体臭と呼気は長いチューブを通じて施設内に導入され、蚊の反応を赤外線カメラで記録しました。

発見:蚊を引き寄せる体臭の成分

驚くべきことに、蚊が引き寄せられる人とそうでない人が存在しました。その違いの理由を追求するため、体臭の化学分析を行い、蚊を引き寄せる成分を発見しました。その成分とは、酪酸などのカルボン酸だったのです。出典Diego Giraldo et al, Current biology, vol.33, 12, p2367, 2023

蚊を惹きつける酪酸:人間は気付かない、でも蚊は好む

これらの化合物は皮膚上の細菌によって自然に生成され、汗や油の中に存在します。特に酪酸(嘔吐物の臭い)、イソ酪酸(腐ったバター)、イソ吉草酸(チーズ)の 3 つの酸が高レベルで蚊を惹きつけました。ユーカリ、柑橘類、セージといった植物のような香りのする同様の天然化合物を高濃度に含む枕木の匂いに引き寄せられる蚊はほとんどいませんでした。蚊はユーカリプトールという化学物質を嫌っていることも発見されました。このユーカリプトールは植物に含まれており、その濃度が高い人は食生活と関連している可能性があると、研究チームは推察しています。

蚊は体温を検知し、CO2に寄ってくる?

日本では一般的にそう思われていますが、この研究ではただの熱源には全く蚊は寄って来ませんでした。一方、CO2には蚊が惹きつけられることが確認されました。

まとめ:蚊と体臭の研究から未来へ

今回の研究により、人間の体臭と蚊の行動の間に明確な関連性が存在することが明らかになりました。これは、新しい虫よけの開発やマラリアの予防策に役立てる可能性を秘めています。夏の夜の小さな悩みから、新たな科学的発見へとつながる。それがこの研究の魅力なのです。

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